夢の空間、2次小説(物語)の世界です。
 

 

 
いつも訪問していただき、ありがとうございます。

気付けばお休みしてから一年以上過ぎてしまいました
続きをとは思うのですが、やはりもう少し休憩をいただきたいと思います


お話が途中なままで終わりにはしたくないので、時間が取れるようになったら
再開するつもりではいますので。

今まで通りブログにはいつでも訪問していただけますが、
ブログ村の参加はお休みさせていただきます  



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 いつもお付き合いいただき、ありがとうございます。


 お話の続きをと思いつつも、頭に浮かぶ事を上手く文章に
変えられず、気がつけば暦は3月に。 

3月になればゆっくりできると思っていたのに、子供がPC
の前にいる事が多くなりまして 

お話のほうは、もう少し休憩させていただきます 


 
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            「もうこの手を離さない!」 

           ~バレンタインの日ですね!~   



 「オッパ、あの・・・14日は忙しいんですよ、ね?」

 「あぁ、朝からイベントの出演が入っている、夕方からはTV局だ。」

 「14日は、私も仕事なんですよ。」

 「そう、か・・・」

 「お休みや早退する人がいてチーフが困っていたので、夜まで
引き受けたんです。」

 「夜!?」

 「あっ 夜と言っても、8時までですから。
帰りはチーフが送ってくれる事になっています。」

チーフは女性で、テギョンも紹介されていた。

 「分かった。」

 「あのぉ、オッパ?」

 「ぅん?」

 「夕飯は、TV局で済ませられますか?」

 「局側かマ室長が手筈するだろうな。」

 「そう、ですよねぇ・・・」

さっきから何を言いたいのか分かっているが、コロコロと変る
ミニョの表情を見るのがテギョンは好きだった。

 「まぁ、俺は何時も手をつけないがな。
生放送の番組だから、10時には戻れる。」

パッと明るくなるミニョの顔。

 「じゃあ、食事を用意して置きます♪」



2月14日、バレンタイン。

シスターを目指していたミニョも、女の子たちがソワソワと落ち
着かない日だと知っている。

まさか自分がその一人になるとは、いまだに夢のようだが。


だがプレゼントを買いに行っても、ウィンドーを飾る可愛いチョコ
たちに手を伸ばす事がなぜかできなかった。

自分で作る事も考えたが、甘い物を余り口にしないテギョンに
プレゼントするのは、ミニョの自己満足な気もして・・・。


14日はテギョンが忙しいとマ室長から聞いていたが、チョコを
どうするか迷っているうちにミニョのスケジュールも埋まっていた。


カトリックのミニョにとって、2月14日も何時もと変らない平凡
な日だった。
俗世で生きる事を選んでも、心のどこかで抵抗があったのかも
知れない。

でも、テギョンへ想いと感謝を伝えたい気持ちも、ミニョの中に
ちゃんとあって・・・




 「お帰りなさい。」

玄関にきちんと揃えられているテギョンのスリッパ。
住んでいるわけではないが、ミニョがいるこの部屋がテギョンに
とっての本当の家になっていた。

ミニョとお揃いのスリッパに履き替えたテギョンは、会えなかった
時間が寂しかったと訴えるようにミニョの体を抱き締めた。

ジェルミが気軽に口にする冗談やシヌが囁きそうな甘い言葉も、
人付き合いが不器用なテギョンの口から告げられる事は滅多に無いが、

 「サランヘ。」

この言葉だけで充分だった。




 「今日は、バレンタインなんです。」

食事が終わる頃、ミニョが急に話し出した。

 「知っている。 一日中、バレンタイン絡みの仕事だった。」

 「そぅですよね、ハハ・・・」

二人で過ごす時間は増えたが、

 「・・・・・」

まだお互い少しぎこちなくて・・・


 「オッパは、ファンの皆さんからたくさんプレゼントを頂いた
んですよね。」

 「あぁ、殆どがジェルミとミナムの腹に収まるがな。
14日の後は、二人から甘い匂いが消えない。」

テギョンはウンザリした表情だ。


 「私もオッパにプレゼントしたかったんですが、 」

 「ミニョのプレゼントなら甘くても大丈夫だ!」

言葉に詰まるミニョにテギョンが慌てたが、

 「でも、チョコを買えなくて。」

 「ハッ?」

買えない・・・・売り切れの訳はないよな。
なら、なぜ?

キョトンとしたテギョンに気付かずミニョは言葉を続けた。

 「聖ウァレンティヌスの記念日は無いんです。」

記念日は無い。
???
ますます分からないミニョの思考。

 「なのに、お祭り騒ぎに浮かれて良いのか迷ってしまって。」

お祭り騒ぎ・・・バレンタインの事か?


 「クッ クックックッ・・・」

 「オッパ?」

テギョンが笑い出した訳がミニョには分からない。

 「すまん・・だが・・・ククッ。」

確かに、ミニョの言うとおり お祭り騒ぎだ。

今日一日で、チョコを手に愛を口にする女性がどれ程いるか。

菓子業界は売り上げを伸ばしたい。
その為にA.N.JELLにも宣伝の依頼が来る。
そして、テギョンたちがチョコを大量に貰う。


 「私、バレンタインがいけないなんて考えてません。
女性が勇気を出せる日だと思います。」

 「お前も勇気を出せたのか?」

 「はい、少しだけ。」

 「でも、チョコは無いんだよな。」

 「はい、チョコは。
オッパ、今日の料理はお口に合いましたか?」

 「あぁ、美味かった。」

 「よかった♪」

 「俺は、どんな料理よりミニョの料理が一番好きだ。」

 「ありがとうございます。
フフフ、今日の料理は私からのチョコレートなんですよ♪」

チンゲン菜とニンジンのクリーム煮、ヨーグルト、コーンブレッド、
レンコンとレタスのサラダ、イチゴ、豆腐入り豆乳キノコスープ。

 「チヨコレイト、か。」

 「この時間ですから、胃に軽い物をと思って。」

時計の針は、もう11時を指している。

 「あぁ、どれも優しくて温かい味だ、ミニョと一緒だな。」

美味しいと言うテギョンの言葉だけでミニョは幸せだった。


 
 「俺からもミニョに渡したいものがあるんだ。」

優しい表情でミニョの左手を取ったテギョン。

 「オッパ、これ・・・・今日は、バレンタインですよ!?」

女の子が告白する日、だがミニョの左指で星が煌いて。


 「俺は海外の生活が長かった。
欧米では、男女を問わず感謝をする日だ。」
テギョンはもう一度ミニョの手をとった。
 「俺はお前に会えた事を感謝している。
そして、一生傍にいて欲しいと願っている。」

 「あの、これって。」

 「すまないが、今はまだ公にできない。
だが、なるべく早く公表できるようにするから。
俺の妻になると言ってくれ。」

 「私で、・・・・許されるのでしょうか?」

 「俺にはお前しかいない。
父さんの事を気にしてるなら心配はいらない。
出発する時に式はいつかと聞かれた。」

 「オッパ、ありがとうございます。」

 「それは、イエスって事だよな。」

 「はい! 宜しくお願いします!」

律儀に頭を下げるミニョ。

 「こちらこそ。
ミニョ、約束する。
俺はもう絶対にこの手を離さない。」

 「私も離しません! 
何があってもオッパの傍にいたいです。」



2月14日。

二人が婚約した事はファン・ギョンセとモ・ファランにしか伝え
られていないが、バレンタインの日はテギョンとミニョにとって
特別な日となった。


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急にバレンタインの話を書きたくなってしまいまして


不器用だけれど、テギョンとミニョ、お互いを想う気持ちだけは
どんどん強くなっていって。

ついでじゃないのですが、プロポーズもしちゃいました。


でも結婚を誓いあっても、まだアン社長には言う事ができず、
なぜかミナムにも伝えられなくて。


「もうこの手を離さない!」のテギョンとミニョ。

本当に、ごく普通のどこにでもいる若者としてのテギョンと
ミニョを感じていただけたら嬉しいです。  
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          「もうこの手を離さない!」

               ~9~


 「空いている部屋があるんだ。」

 「なぁ、使わない家は傷むと言うよな。」

 「住める場所があるのに、家賃を払うのは不経済だろう。」

 「部屋を空けたままにして置くのは、勿体無いと思わないか?」

ミニョが首を横に振るたびに、子供のような瞳で言葉を重ねていく
テギョン。

まるで、おねだりをされているようで・・・・・



テギョンの懇願を受け入れたミニョは、ファン・ギョンセの秘書で
チーフ・マネージャーでもある ク 夫妻を紹介された。

 「ク・ヨンイルさんと奥さんのソン・キョンジャさんだ。」

以前はギョンセと世界を回っていたク・ヨンイルだが、今は息子
のジュンホにその役を譲り、ギョンセの個人事務所を妻と共に管理
していた。
二人はテギョンと同じマンションに住んでおり、テギョンの部屋の
管理もしてくれていた。


 「コ・ミニョです。 宜しくお願いします。」

テギョンの父親、ファン・ギョンセに繋がる人物。
緊張しながら頭を下げたミニョを、二人は優しい笑みで迎えて
くれた。


おおっぴらに動けないテギョンに代わり、ミニョの部屋の準備を
してくれたのも ク 夫妻だった。
勿論、用意した物はテギョンの指示した品々だったが。



初めて見た時はテギョンらしいと思った部屋だが、白と黒の世界
だったリビングにはパステルピンクやグリーンの色が加わり、
淡い春色に彩られていた。
ミニョの部屋に用意された女性らしい色合いのベッドやドレッサー
も、シンプルだが最上の品だった。


 「キッチンとダイニングに足りない物は、お前が選べ。」

目を丸くしているミニョを見て、テギョンは上機嫌だった。

そんなテギョンを見て、ミニョの瞳が揺れた。

 「オッパ、本当にこの部屋をお借りして良いのですか?」

これで、何度目の質問になるか・・・


確かにテギョン名義だが、購入したのはファン・ギョンセだった。
だからこそ、独立したテギョンはこのマンションを使わずいつも
ホテルを利用していた。

だがミニョと出逢い色々な事が変りだしていた、父親との関係も。


 「父さんにも断わってある。
今度帰国した時に、ミニョと会いたいと言っていた。」

 「本当に?」
テギョンの思いがけない言葉に、ミニョの声が震えた。
 「本当に、会ってくださるのですか? 
本当に、私に・・・」

ファン一族からの干渉を一切拒否しているギョンセとテギョン
父子だが、身分違いだという事はミニョにも分かっていた。
それが、モ・ファランがファン・ギョンセと結婚できなかった
一番の理由のはずなのだから。

 「あぁ、本当だ。 楽しみにしていろ。」

優しく微笑むテギョンの真剣な瞳。
涙を浮かべながらミニョは小さく肯いた。



テギョンの言葉通り、ソウルに戻ったギョンセはミニョと会った。
そして、上機嫌で次の任地に旅立って行った。



日々仕事に追われるテギョンと事務所務めの普通の生活を送る
ミニョだが、それなりに恋人の甘い時間を過ごせていた。


ただ、ミニョの気になる事が・・・


 「オッパ?」

 「ぅん?」

 「お母様の事ですが。」

「・・・・・電話はしている。
父さんがミニョを気に入ったと話したら、とても喜んでいた。」

 「そうですか♪
あの、お体の具合は?」

 「・・・悪くはなっていないようだ。
声にも張りがあった。」

言葉では誤魔化せるが、テギョンの耳は惑わされない。

だがアメリカの病院に入院したモ・ファランは、退院できる目処
がついていなかった。
長年のアルコールと睡眠薬は、モ・ファランの体を思った以上に
痛めつけていた。

そしてテギョンとミニョ、ミナムの事を考え、芸能活動を休業した
モ・ファランは全ての事に距離を置いていた。


 「お見舞いに行けると良いですね。」

ミニョの言葉に微かに肯くテギョンだが、しばらくは纏ったオフが
取れそうもなかった。


そして夏が終わる頃から、テギョンのスケジュールはミニョに会う
事さえ難しくなっていった。



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         「もうこの手を離さない!」

               ~8~


 「ミニョは一人暮らしなんだ。
男が出入りできる訳ないだろう。」

ミナムの冷たい視線がジェルミとシヌを捉えた。

 『住む場所が決りました。』
と報告したミニョへ未練を見せるジェルミにミナムがとった態度
は、ミニョがアフリカから帰国した時と同じだった。



ミニョの帰国後、TV局の楽屋で三人になった時にシヌとジェルミ
にミナムが告げた言葉。

 『ジェルミ、人の妹にセクハラするなよ。
家族でも恋人でもないんだからさ。
シヌヒョンもスキンシップは遠慮してよね。』

 『セッ セクハラなんかしてない!』

 『頻繁にミニョに抱きつくよな、ジェルミ。
シヌヒョンも、ミニョの頭を撫でたり髪に指を絡めるし。』

サラッときつい台詞を吐くミナム。

 『抱きつくって・・・・・ハグは挨拶だからな!!』

 『フ~ン。
それなら・・・・ジェルミの妹に会ったら、フレンチキスしても
良いんだ♪』

 『何でそうなるんだよ!!?』

 『イギリスじゃ、ハグは挨拶なんだろう?
その習慣が無い韓国なら、キスつきで同じレベルだろう?』

口調は穏やかだが、ミナムの視線にジェルミは怯んだ。
挨拶だから、言い訳が通じる相手じゃない。

 『シヌヒョンは・・・・
自分の恋人が他の男に触られても気にしない、凄く心の広い人?』

シヌが触れるたびに無意識に首を竦めるミニョの様子を、ミナム
は見逃していない。
そして、テギョンの前ではシヌがミニョに触れないという事実も。

 『言っている事が滅茶苦茶だよ、フレンチキスなんて・・・』

 『そうだな、滅茶苦茶だ。』

 『シヌヒョン!』

シヌの同意、ジェルミの顔にホッとした表情が浮かんだが、

 『だが、ミナムの言っている事にも一理ある。』

次にシヌの口から述べられた言葉で目を丸くした。


 『キム記者の記事はどうにか没にできたけど・・・』

キム記者の空港でのミナムへの無礼をちらつかせ、シヌの記事を
テギョンとミニョの記事に差し替えさせた。
キム記者は渋ったが、アン社長がシヌとミニョのインタビュー
記事と写真は全て回収した。
その代わり、キム記者がTV局で撮ったテギョンとミニョの後ろ姿
の写真を使う事を許可した。
テギョンの恋人に気付いたのはキム記者が最初だったとおだてて。
記事のテーマは、テギョンとミニョの人目を忍んだ恋、そして
ユ・ヘイは二人の友人で協力者だったという事になっている。

 『シヌヒョン、ジェルミも行動や言葉には配慮してよね。
何かあったら傷付くのはミニョなんだからさ。』

ミニョによく似た顔、だがその瞳に浮かぶ冷徹さ。
見つめてくるミナムに、シヌは反論できなかった。


ミニョがミナムの代わりをしていた時の出来事、
 『俺の恋人です。』
シヌの発言をジェルミから聞かされてから、ミナムはシヌに反感
を抱いていた。
テギョンと違い世渡りが上手いシヌなら他の台詞があったはず。
 『ミニョを庇っただけだ。』 
そんな言葉もミナムには通用しない。


ファン・テギョンの性格と素性にミナムが納得できたわけでは
なかったが、女の扱いに慣れきったシヌとジェルミよりは、恋愛
初心者のミニョの相手に向いているかもと考えるしかなかった。

トップアイドルとして持て囃されるファン・テギョンが、この年
まで女と付き合った事が無いとは呆れるが、テギョンの過去の女
の存在に、ミニョが悩まされる事はないはずだから。
ミニョには、亡くなった母親のような思いはさせたくなかった。




 「兄として、家族や恋人でもない男の訪問は認められない。」

 「男のって!
ミナム、俺はミニョの親友だぞ!」

 「親友?」
醒めたミナムの眼差し、
 「お前さぁ、男じゃないって言えるの?」
その目に一瞬怒りが浮かんだ。
 「前にも言ったよな。
マスコミに騒がれて困るのは、ミニョなんだぞ。」

 「じゃぁ、じゃあヒョンは良いのかよ!?」

ミナムたちのやり取りを、テギョンに寄り添い不安げに見つめて
いるミニョ。
空しい質問だとジェルミにも分かっている。

 「まあな、一応恋人と認識されてるから仕方ない。
それに、テギョンのマンションだし。」

ミナムの言葉で、シヌとジェルミの驚いた視線がテギョンに向け
られた。


 「俺がA.N.企画に入るまで暮らしていたマンションだ。
ミニョはそこで暮らす。
言っておくが、俺は引っ越さないからな。」

 「そう、なんだ・・・」

 「ジェルミ、また遊びに来ますから。」

 「うん・・・」

ミニョの慰めるような言葉に力なく肯いたが、ジェルミは許され
ないがテギョンは許される。

それが、恋人と友達の違い・・・・・

シヌとジェルミが、ミニョに言える事はそれ以上なかった。




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          「もうこの手を離さない!」

                ~7~


  【オッパ、お願いがあります。】

帰国を延ばしたいと、ミニョからのメール。

こうなる事を心のどこかで恐れていたのだが、

  【許可する。】

テギョンは、溜息をつきながら仕方なくメールを返した。
 
体調を崩して急遽帰国したシスターの代わりが到着するまで。

ボランティアスタッフ達の事情をミニョから聞いていたテギョン
に、駄目と言えるわけが無い。

だが、

  【新任のシスターが仕事に慣れるまで、あと一ヶ月だけ。】

もう何度目になるか分からない溜息をつきながら、テギョンは
携帯の画面からしばらく目が離せなかった。

  【これが、最後の許可だ。】

惚れた弱みで駄目とは言えない。
そして、ミニョの強情さは誰よりも分かっている。
たとえテギョンが許可しなくても戻らないという事も。


結局3回の滞在延長でミニョがソウルに戻ったのは、テギョンの
誕生日、ミニョの誕生日も過ぎてしまっていた12月の初めだった。


韓国を出発する時の見送りはテギョン一人だったが、出迎えも
やはりテギョン一人。


 ~もうすぐオッパに会える!~


自分で滞在を延ばしていたのに、帰国が決るとミニョの心はソウル
のテギョンの元に飛んでいた。

飛行機から降りたミニョは一秒が待ちきれなくて、荷物を掴むと
駐車場で待っていてくれるテギョンの元に駆け出していた。


 「サランヘ・・・ミニョ・・・」

それ以上の言葉は要らない。
お互いの温もりが、唇の甘さが夢ではないと・・・・・



アフリカからひっそりと帰国したミニョは、一旦合宿所のミナム
の元に身を寄せた。
伯母のミジャもいるが、やはり兄ミナムはミニョにとって特別な
肉親だ。

勿論、ミニョの帰国をシヌとジェルミも喜んでくれた。



だがA.N.JELLは、年末の忙しさに追われ忙しい日々だった。



 「来年のクリスマスは二人で過ごそう。」

コンサートの楽屋、打ち上げ会場、傍にいられるだけで幸せだ
と感じていたミニョの耳元で優しく囁くテギョン。
幸せに頬を染めたミニョは、その言葉だけで充分だった。



クリスマスのコンサートも無事に済んだ後、

 「私、オッパのマンションを借りる事にしたから。」

 「テギョンのマンションって・・・二人で暮らすのか!?」

 「いや 俺はこのままだ、ミニョが一人で住む。」

 「でも、テギョンのマンションって?」

 「俺名義のマンションがあるんだ。
空けておくのも勿体無いし。
管理がてらミニョに住んでもらう事にした。」

そう・・・ミニョの心を擽る言葉、『勿体無い』。
遠慮するミニョの説得に手こずった、テギョンの切り札の言葉。

  「私の仕事場にも近いのよ。」

正社員ではないが、ミニョは院長の紹介でボランティア団体の
事務所に勤め始めていた。

 「セキュリティもきちんとしてるから安心だし。」

相談では無く、ミニョからの報告。


 「そうか・・・
もう決めたなら俺に異存は無い。 好きにすれば良い。」

テギョンの手を取ったミニョは一人で歩き出していた。
お兄ちゃんどうしよう、と言ってミナムに甘えていた妹はもう
いない。


そして、ミナムの他に報告をしなければいけない人たち。


 「え~! 出て行くの、ミニョ!」

 「はい、住む場所が決りましたので。」
 
 「こんな急に・・・・
クリスマスのパーティーは!?」

そんな時間が取れない事は、ジェルミにも分かっている。
だけど、もっとミニョと一緒にいたかった。

 「年が明ければ休みがあるし!
31日は深夜まで仕事だけれど、1日はオフだから。
一緒にアイスも食べられるし、ゆっくりできるんだよ!!」

訴えるようなジェルミの目を、ミニョは真っ直ぐに見つめ返した。

 「ここは、私がいて良い場所ではありませんから。」

ミニョはA.N.JELLの一員ではない。
コ・ミナムの妹と言うだけで、長い滞在を許される場所でもない。
テギョンの恋人なら尚更だ。


 「そう、だな・・・・・ミニョのいう事は正論だ。」

もう手を伸ばせない存在だとシヌにも分かっている。
アフリカから帰国したミニョの温かい微笑みは以前と変らないが、
その瞳の中にかつての覚束無い少女はいなかった。
今も事故多発地帯は変っていないようだが、ミニョの瞳は真っ直ぐ
に前を、未来を見ている。


 「・・・分かったよ。
なら、俺が遊びに行くね!」

すがり付いてくるようなジェルミの声。
ミニョの瞳が困ったようにテギョンを求めた。

だが、

 「ミニョは一人暮らしなんだ。
男が出入りできる訳ないだろう。」

ミナムの冷たい視線がジェルミとシヌを捉えた。



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            「もうこの手を離さない!」  

                  ~6~


1月2日。
正月の祝いとは無縁な場所だが、病院も3日まで休診だった。
テギョンの病室がある特別病棟も何時もよりは閑散としていた。

その静けさの中、ミニョはテギョンの傍らから片時も離れる事が
できなかった。
傍にいる事しかできないが、テギョンが目を覚ました時その瞳に
映るのは自分でありたい。
ささやかな、ミニョの女としての我儘だった。

テギョンのベッドの脇に腰掛けた、ミニョの膝の上にあるのは
編み掛けのカーディガン。
ミニョの部屋に来た時に羽織って貰えればと思い、編み始めて
いたものだ。
糸はテギョンのアレルギーを考えて、埃が出にくいフェルト状の
タイプ、太目の糸をざっくりと編んでいるので進むのも早い。

だが昨日ミナムが帰ってから、ミニョの手は編み出しては止まる
を繰り返していた。


テギョンの意識が戻らないのは現実。
だが必ず目を覚ますとミニョは信じていた。
いや、感じると言うべきか。

 ~オッパは、絶対に私を一人にしない!~

でも、待つのはやはり切なくて・・・・・

ミナムが帰った後、気付くとテギョンと出逢った頃の事ばかり
思い出してしまっていた。




シスターになれると浮き立っていたローマ行きの数日前、目の前
に突然現れたマ室長。

奇跡のような、A.N.JELL、ファン・テギョンとの出逢い。

母の消息。

訪れた初恋。

両親とモ・ファランの確執。

沖縄でテギョンの手を離してしまった後悔。

もう二度とテギョンに会う事もないと思いながらも、やはりその
姿を目に焼き付けたくて、足を運んでしまったA.N.JELL
のコンサート。

そして、テギョンの愛の告白。
 『サランヘ、ミニョ。』
テギョンの言葉で再び変りだしたミニョの人生。


コンサートの終了後、メンバーより先に会場を抜け出したテギョン
とミニョは、合宿所できちんと向き合えた。

マスコミの目を惹きつけ囮になってくれたシヌ、ジェルミ、ミナム
が合宿所に戻った時には、まるで別れた時間など無かったような
テギョンとミニョの二人が3人を出迎えた。

 「あの、本当にご迷惑をお掛けしました。」

深々と頭を下げるミニョに、シヌとジェルミは優しい眼差しを
向けた、その瞳の寂しげな色にミニョは気付かなかったが。

テギョンの傍らに立つミニョの安心しきった幸せな表情。
ずっと暗い顔をしていたテギョンの穏やかな優しい瞳。

説明をされなくても、目の前にいるミニョがシヌとジェルミに
とって本当に遠い存在になったと分かった瞬間でもあった。


コンサートが終わる頃にはマスコミが騒ぎ出していたが、
はぐらかす事無く全て事実とテギョンはマスコミに発表した。
アン社長は渋い顔をしたが、テギョンの真っ直ぐな瞳を受け入れる
しかなかった。

だがライブの2日後、憂い顔のテギョンを残し、ミニョは予定
通りアフリカに出発した。


アフリカに旅発つミニョの見送りはテギョン一人。 
そのテギョンが行けるのも空港の駐車場まで。
搭乗手続きは別に来ているマ室長が済ませていた。


 「遠慮なんかせずにちゃんと連絡しろ。
俺が出れない時はメッセージを残せ、俺もそうするから。」
 
 「はい・・・ありがとうございます。」

 「これは俺が安心する為のアイテムだ、料金を気にするなよ。」

携帯を解約したと言うミニョにテギョンが用意した物。
衛星電話とソーラー充電器。

 「これからお前が行く場所なら、日陰でも充電できるかもな。」

電気も制限される場所かもしれない事を考えたテギョンの気遣いが
嬉しかった。
テギョンからのプレゼントの携帯を大切そうに握りしめたミニョ
の瞳からは、今にも涙が溢れそうで・・・。


搭乗時間ギリギリまで車にいたミニョは、パッとテギョンの体に
腕を回した。

 「行ってきます・・・・テギョン、オッパ。」

 「あぁ、行って来い。
そしてちゃんと俺の腕の中に戻って来い。」

 「はい! 待っていてくださいね。」


再び会えると分かってる。

でも・・・・・

自分の選択に揺れる心。

テギョンへの想いを封じ込め、ミニョは出発した。



慌しく始まったアフリカでの生活。
戸惑う事も多かったが、失敗がミニョを一人の人間として成長
させていってくれた。

忙しい日々。
自由な時間は無いと断言してもいいような生活だったが、テギョン
と交わす電話とメールがミニョの支えになっていた。

そして、電話やメールでは伝えきれない想いを綴った手紙。

想いが通じ合ってもすぐにまた離ればなれになってしまったが、
会えない日々の中で二人の絆は確実に深まっていった。


半年の予定だったボランティア生活だが、ミニョが帰国できたのは
結局12月の初めだった。



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   テギョンが倒れるまでの経緯を、ミニョの回想という形式で
  しばらく話が進んでいきます。
  でも、安心して読んでください。
  本当に淡々としたお話ですので   
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           「もうこの手を離さない!」

                  ~5~


モ・ファランがなぜ韓国に戻らないか?

勿論知っている。
一番の理由は自分のはずなのだから。


ミニョがアフリカでのボランティア生活に慣れ、ミナムも芸能界
にすっかり馴染んだと思えた頃、テギョンの案内でモ・ファラン
に会った。

 『本当にごめんなさい。
ご両親と妹さんに辛い想いをさせて。』
頭を下げたモ・ファランに、
 『男と女の過去・・・・・
俺は、あなただけが悪かったとは思っていません。
だけど、あなたの顔を見たいとも思わない。』
ミナムの正直な気持ちだった。
今更責める気は無い、だが関わりたくもない。

 『えぇ、そうよね・・・・・
それが当たり前・・・
私があなたに会う事は・・・もう、無いわ。
でも・・・・・
テギョンとミニョさんの事は許してください。』
お願いしますと頭を下げるモ・ファランは、母親の目をしていた。

その後モ・ファランは、ミニョが帰国する少し前に韓国から姿を
消した。
芸能活動も休止したままだ。



 「モ・ファランさんがアメリカの病院に入院している事は、前に
話したよね。」
確認するようにミニョがミナムを見た。

現在、モ・ファランはアメリカの病院で治療を受けていた。
長年の不摂生が、モ・ファランの体を蝕んでいた為だ。

 「ファランさん、容態が芳しくないの。
韓国には戻らないって仰るけれど、きっとオッパに会いたいはず。
気にならないってオッパは強がっているけれど、オッパにとって
大切な人だから。」

 「お前の気持ちを、モ・ファランは傷つけたんだろ?」

 「あの時は・・・・・
モ・ファランさん、自分を見失ってらしたから。」

 「見失っていたら何をしても良いのか?」

 「それは違うけれど。
でも、モ・ファランさんはちゃんと謝ってくれたわ。」

 「フッ 謝れば済むか・・・」

 「お兄ちゃん!!」

何を考えているか読み取れないミナムの表情。
こんな顔をされる時、ミニョは何時も寂しさを覚えた。


 「私・・・・・私だって、人を傷つけた。
自分の事しか考えられなくて、オッパに辛い思いをさせた。」
沖縄に謝りに来てくれたテギョンの手を離したミニョ。
母親に何時も拒まれていたテギョンにとって、拒否されるという
事がどんなに堪える事だったか、あの時は気が付かなかった。
 「オッパは手を離した私を待っていてくれたのに、弱虫な私は
ファン・テギョンを見なくて済む世界に逃げ出そうとした。」
もし、あの日テギョンがサランヘと言ってくれなかったら・・・
 「あのね、オッパの傍で色々と考えちゃった。
自分が情けない人間だって事も。
私、目を覚ましてくれないオッパを見ていて、お父さんや
お母さんまで恨んじゃったのよ。」

ミナムの目に映るのは、「愛」を知って揺れるミニョの瞳。
シスターになるの、と言って目を輝かせていた妹はもういない。

 「私たちがお腹にいたのに、なぜお母さんはお父さんの前から
いなくなれたんだろう・・・
お父さんだって、何でお母さんの手を離したのかなぁ・・・
私は・・・もうオッパの手を離せない!」

別れる事がどんなに辛いか知っている。
あんな想いはしたくない、決してさせたくない。


 「お前がテギョンを好きな事ぐらい、知っている。」

生真面目に訴えるミニョに、からかうような目を向けるミナム。

 「お兄ちゃん・・・・」

 「話はそれだけか?」

 「オッパ自身を見て。
オッパは、モ・ファランさんじゃない。」

見つめ合う兄と妹。

スッと視線を逸らせたミナムは無言で立ち上がった。
ミニョも何も言わない。


 「分かっているさ。」

呟くような声を残し、ミナムは病室を出て行った。

そう分かっている事だ。
ただ、心に渦巻く感情に逆らえなかっただけ。




 「お兄ちゃん、ごめんね・・・」

ミナムの気持ちにミニョも気付いていた、テギョンもだ。


 『俺だって、モ・ファランのしてきた事を許せた訳じゃない。』
人一倍純粋で潔癖症のテギョン。
 『だが、・・・母親だからな・・・』
葛藤があるが拒否もしきれない。

テギョンは、モ・ファランを許せないミナムの気持ちを理解して
いた。
そして、ミニョだってモ・ファランを許せず、テギョンの手を
一度は離してしまったのだから。



 「オッパ、お兄ちゃんも分かっているんですよ。
モ・ファランさんだけの所為じゃないって。
だけど誰かさんと同じで、素直じゃないところがあるから。」

優しくていつもミニョを気遣っていてくれるのに、ミナムが施設
を出てから会ったのは2度だけだった。
マ室長に会うまで、ミナムが歌手になろうとしていた事もミニョ
は知らなかった。


自分が原因でシスターになるのを止めたミニョに、どこか負い目
を持っていたミナム。
 『テギョンより良い男は一杯いるぞ。
シヌヒョンやジェルミだって、テギョンよりましだぞ。』
そう冗談交じりに言って、ジェルミに追いかけられていたミナム。
本当は、誰よりもミニョの幸せを願ってくれている。


 「オッパ。
暖かくなったら、約束どおりモ・ファランさんのお見舞いに
行きましょうね。
その時はお兄ちゃんも無理やりにでも連れて行きますから。」

返事を返してくれないテギョンに、ミニョは寂しそうに微笑み
かけた。


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             「もうこの手を離さない!」
 
                   ~4~


 「お兄ちゃん、話があるの。」

立ち上がりかけたミナムは一瞬ミニョの顔を見たが、無言のまま
ソファーに再び腰を沈めた。

ミニョとミナム、双子の微妙な距離感・・・・・

 「俺とジェルミは先に帰るから。」
ジェルミが口を挿む間をシヌは与えなかった。
 「冷蔵庫の中身を補給して置かないと、明日から困るだろう?」
合宿所の管理をしてくれていたミニョたちの伯母ミジャは、去年
田舎に引っ越していた。
 「確か・・・フルーツ、アイスも今朝食べたのが最後だったよな?」

 「うぅ・・・・分かったよ。」

幸せにしてくれる魔法の薬!
『フルーツにアイス』 と言われたら、ジェルミも納得するしかない。


 「ミニョ、ちゃんと食べ無くちゃ駄目だよ。
目を覚ました時にミニョが痩せ細っていたら、ヒョンが悲しむ
からね。」 

テギョンは眠っているだけ、そう思いたいジェルミ。

 「眠れないだろうが、横になってちゃんと休めよ。」

大丈夫ですと微笑んでもやつれた事が分かるミニョに、声をかける
事しかできないシヌ。

 「ジェルミ、シヌさん、ありがとうございます。
皆さんも体調に気をつけてくださいね。」

ミニョの心配する声に見送られて、テギョンの状態を再認識した
シヌとジェルミはミナムを残し病室を後にした。




 「話って何だ?」

 「ぅん・・・あのね・・・」

ミニョがミナムに伝えたい事。
だが、いざ話そうとすると言葉が上手く出てこない。

本当はもっと前にちゃんと話合うべきだったのに、アフリカから
戻ったミニョが話そうとする度にミナムはどこか避けていた。
アフリカに発つ前も、会ったの1年ぶりだったのだが。


ミナムに促されたミニョの視線が、無意識にテギョンを求めた。

縋りつくような、でもテギョンへの愛おしさが溢れたミニョの瞳。
たとえ意識が無くても、テギョンはミニョの支えだ。

そんなミニョを見て、ミナムの頬が微かに強張った。
妹を苦しめる積もりは無かった、ただ・・・・・



 「オッパに責任は無いんだよ。」

テギョンから視線を移したミニョの瞳が、真っ直ぐにミナム
を捉えた。

無言のミナム。

ミニョは言葉を続けた。

 「オッパも辛い思いをしていた事は話したよね?」

日本から戻り施設を手伝っていたミニョの前に現れたミナム。
その時に両親とモ・ファラン、テギョンの関係を伝えたが、ミナム
は先にテギョンから事情を聞いていた。


空港でミナムが初めてA.N.JELLのメンバーと顔を合わせた
後、殆ど言葉を交わす事無く姿を消したテギョンは、夜一人で宿舎
に戻ってきた。
その翌日、 
 『モ・ファランが・・・母が申し訳ない事をした。』
過去の出来事をミナムに告げたテギョンは、深々と頭を下げた。
話を聞いたミナムは冷静だった。
 『恋敵の邪魔をするのは特別な事じゃないさ。
《どうしよう》 だって、母さんが父さんの前からいなくなって
からの事だ。
歌を取られただなんて母さんは知らなかったさ。
その前に歌手としてデビューもしてないしな。』
過去の事は関係ないとテギョンに伝え、ミナムはA.N.JELL
の一員としてスターの座を手に入れた。

だが、

イ・スジン、母親の話を初めて聞いた時はどこか他人事のような
気がしていた。

そう、過去の事だ、気にならない。

そのはずだったのに・・・・・

自分の目の前で歌う音楽の申し子のようなファン・テギョン。
生まれた時から全てを持っている天才。

母親が傍にいなくても、死んで会えない訳じゃない。
指揮者として有名な父親だっている。


 「辛かったとしても、それはモ・ファランとテギョンの問題だ。
俺たちには関係ない。」

 「そんな事は無いよ。
亡くなったお父さんの事を、モ・ファランさんはずっと思い続けて
いたんだから」

 「それは、モ・ファランの勝手だろう。
モ・ファランさえ、父さんと母さんの邪魔をしなかったら・・・」
口から出てくる、以前テギョンに告げた言葉と逆な思い。
 「それに、父さんたちに関わらなくても、結局モ・ファランは
テギョンを捨てていたさ。」

 「お兄ちゃん!!」

ベッドに横たわる意識の無いテギョンを気にするミニョの態度
が、ミナムをイラつかせる。

 「事実だろう?
恋多き女、モ・ファラン!
男関係で良い話はないんだから。」

 「そんな言い方をしないで!
スキャンダルは本当じゃないって、お兄ちゃんだって分かって
いるでしょう。」

 「本当じゃないが、全てが嘘でもない。」

テギョンとユ・ヘイの熱愛報道も、ユ・ヘイの想いは真実だった。
公表されなかったが、シヌとミニョの取材記事もシヌの気持ちは
本気だった。

 「でも、全てが嘘の時もあるわ。
お兄ちゃんだって何度か名前を使われてるでしょう?」

ミニョの言うとおり、ジェルミと同じく誰にでもフレンドリーな
ミナムは、新人の無茶な売り出しに何度か巻き込まれていた。

 「有名税だ、仕方ないさ。
お互い様だしな。」

たとえ嘘のスキャンダルでも、コ・ミナムの名前が世間に知れ渡る
事に変りはない。

 「そうね・・・・・芸能界は、虚構の世界よね。
でも、オッパは違う。」

そう、テギョンは違う。
ユ・ヘイとの恋人報道もミニョを護る為だった。
ミニョがアフリカから戻ってからも、何時も誠実だった。

 「テギョンは潔癖症だからな。」

 「オッパは嘘が嫌なのよ。」

嘘で始まったテギョンの人生。
誕生日は届けだされた3月のままだ。
そして、モ・ファランをいまだに母と公表していない。


 「ねぇ、モ・ファランさんが、何で韓国に戻らないか知ってる?」




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           「もうこの手を離さない!」

                 ~3~


 「ねぇ、あの人かな?」

シヌの車に向ってくる落ち着いた雰囲気の男性。

 「あぁ、そうみたいだな。」

シヌとジェルミの問うような視線に、ミナムが微かに肯いた。



合宿所に戻り一眠りしたシヌは、ジェルミが起きて騒ぎ出す前に
携帯を手にした。

ファン・ギョンセへの遠慮か、アン社長も病院に行く事を控えて
いるので断わられるかもしれないが、

 『テギョンを見舞いたいのですが。』

昨夜ミナムから聞いた電話番号に連絡してみた。
すると、

 『分かりました、ご案内します。』

まるで、シヌからの連絡を承知していたような受け応え。
すぐに病院の駐車場を待ち合わせ場所に指定された。



 「お待ちしていました。」

ファン・ギョンセの敏腕マネージャーだったと聞いていたのだが、
目の前に現れた人物は物腰の柔らかな初老の男性だった。
しかし、シヌたちに向ける眼差しには隙が無かった。

 「これを着けてください。」

手渡されたマスクを着けマネージャーの後に従う。

1月1日・・・さすがに病院のロビーは閑散としている。
変装している3人を、A.N.JELLだと気付く人間もいない
だろう。
ジェルミも黒いカツラを被り目立たない地味な服装にしていた。


 「ヒョン、目が覚めたかなぁ・・・」

アン社長からはまだ意識が戻らないと聞いてはいたが、つい口に
してしまう言葉・・・

 「残念ですが、まだ意識は。」

ジェルミの独り言のような呟きに答えたのはファン・ギョンセの
マネージャー。
その言葉を聞いてジェルミの眉尻が思い切り下がった。


シヌたちがファン・ギョンセのマネージャーに案内されたのは、
ミナムが言っていたとおり特別病棟の特別室だった。
マネージャーが話を通してあったのだろう、病室に着くまで
誰にも呼び止められなかった。



「コン、コン。」

小さなノックの音。

この病室に尋ねてくるのは、ファン・ギョンセのマネージャーか
その妻だけのはず。

だが今日の訪問者は・・・・・
マネージャーの後ろにいる人たちを見て、ミニョは目を丸くした。

 「ミニョ!」

部屋に入るなり大きな声を出して、シヌに窘められたジェルミの
行動は何時もと変らない。
椅子からゆっくりと立ち上がったミニョの口元が、フッと綻んだ。


 「テギョン・・・
顔色が少し良くなったようだな。」

 「はい。
熱も下がってきたんです。」

下がったと言っても、まだ38℃を前後しているのだが。

 「良くなったって、これで? そんなぁ・・・」

ミニョとシヌのやり取りを聞いていたジェルミが、今にも泣き
だしそうだ。

倒れたテギョンにジェルミが会うのは、今日が初めてだった。


 「救急車で運ばれた時は、チアノーゼを起こしていたそうだ。」

泣き虫ジェルミには伝えていなかった事。

 「チアノーゼって、やっぱりアレルギー発作だったの!?」

 「いいえ、アレルギーの発作では。
肺炎の為に呼吸が弱くなっていたのが原因のようです。」

テギョンが倒れて数日、やっと落ち着きを取り戻したミニョも、
冷静に説明ができるようになっていた。

 「呼吸が・・・・・
ヒョン、苦しかったよね。」

テギョンを見つめるジェルミの瞳から涙が溢れそうだ。
アレルギーの発作が起きた時も、テギョンは何時も一人で耐えて
いた。
そしてどんなに疲れていても、テギョンの口から辛いという言葉
は出なかった。
眠れない夜が続いた時もだ。


 「きっと・・・・・
きっと眠れなかった分を、今まとめて眠ってるんだよ。
ねっ、そうだよね、ヒョン?」

横たわるテギョンから目を離せないジェルミの声は、悲しげだが
どこか真剣だ。

 「まとめてって、」

ミナムが飽きれたような目をジェルミに向けたが、

 「そうだな、そうかもしれないな。」

 「はい、私もそう思います。」

シヌとミニョの同意する言葉に、『まとめては無理だろう。』 
という台詞を呑み込んだ。
ミナムが何かを言おうとしていた事にミニョは気付いたが、尋ねる
事はしなかった。


 「確か・・・ヒョンが入院するのって・・・・・」
ジェルミがちょっと考え込んだが、
 「うん、やっぱりあの時以来だよ。」
一人納得して肯いている。

 「あの時、ですか?」

あの時が分からず、ミニョが首を傾げた。
ミナムにも思い当たる事はない。

 「プールで溺れた時だろう。」

ハッとしたミニョは戸惑った表情になったが、シヌの言葉に
ジェルミは大きく肯いた。

 「でも、あの時はすぐに退院できたんだよね。」(ジェルミ)

テギョンが溺れた原因はミニョだが、テギョンは誰にも真実を
語っていない。
ミニョから事情を聞いていたミナムもだ。


 「今度だってそうさ。
ただ、アレルギーで使えない薬があったから手間取っただけだ。」

救急車で最初に搬送されたのが初めてかかる病院だったので、
アレルギーの多いテギョンの治療に上手く対処できないでいた。
意識が無いテギョンの転院をファン・ギョンセのマネージャーが
決断したのも、それが一番の理由だった。

 「うん、そうだよね。
それにミニョが傍にいてくれるんだ、すぐに良くなるに決ってるよ。」

ジェルミが自分自身に言い聞かせる為、そしてミニョを元気付ける
為の言葉だった。


一通り言葉を交わした後は、やはり目の前の現実に沈黙が続く。
そして、横たわるテギョンから目が離せない・・・・・


 「さぁ、俺達はもう帰ろう。
テギョンが目を覚ましてからまた来よう。」

ジェルミは帰りたがらなかったが、シヌが腰を上げた。
明日からはまた忙しい日々が始まる。
それに、みんながいれば疲れているミニョが気を使う。

シヌに促されてジェルミが渋々立ち上がった。

続いてミナムが立とうとした時、ミニョが声をかけた。

 「お兄ちゃん、話があるの。」

  

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銀のタル

Author:銀のタル
韓国ドラマ『美男ですね』の、二次小説です。
テギョンのそれから・・・、色々な設定です。
誤字・脱字・解り辛い表現もあると思いますが、素人の作品とご了承のうえ、お読みいただけたらと思います。

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